創世記
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残酷な貴方と幸福な私 −3−






 レグルスは、その事実を知って愕然とした。
 この日ほど医学を学んできた事を、憎んだ事はなく…。
 そして。
 安堵した事は無かった。
「……何故…?」
 目の前に座るロキは何も答えず、ただ俯いていた。
「…ロキ…」
「………」
 しゃがみこんで、視線を合わせる。
「…教えてくれ…何故、だ?」
 ふるふると、ロキが首を振った。
「ロキ…アルに、どう告げるつもりだ…?」
 はっと、ロキが顔を上げる。
「兄様には言わないでっ!!」
 その顔は、必至で…今にも泣きそうだった。
 縋りつくように、レグルスの肩を掴む。
「お願いだから、兄様だけには…!兄様だけには言わないでっ!!」
「…ロキ?」
 ロキが必死になるのもわかる。
 けれど…。
 何かがおかしい。
 何故、ロキはこうなった?
 アルファズルの至玉とまで言われ、尚且つあのアルダフェズルの手中の珠が…。

 何故?

「無理だ…必ず知られる…。アルは…許さない…」
 レグルスは首を緩く横に振った。
 許すはずが無いだろう…?
 あの、アルダフェズルが……。
「……言わないで…」
 ロキが呟いた。
 それは。
 とても小さく、そして…
 レグルスは息を飲む。
 今までのこの子からは考えつかないほどに鋭く強い。
「…言ったら…レグルス…俺はアンタを憎む」
 銀の瞳が真紅に輝いて、彼の本気をうかがわせた。
「…けれど…」
 絶対に、知られる。
 秘密にし通す事など無理なのだ。
 何故…?
 何故、この子は…
 レグルスは、はっと顔を上げた。
 兄に知られたくない理由…それは、アルダフェズルがロキを縛り付けているから。
 けれど…この子がここまで本気になった。
 それは…どう言う事だ?
 あの、アルダフェズルの手中にあるこの子に…。
 あんな事ができるはずが無いのだ。

 違う!
 ひとりだけ、存在する!
 アルダフェズルが怖いから、ロキは発覚を恐れているのではない。
 違うのだ。
 違う…違うのだ。
 今まで、レグルスが考えていた真相とは、別のところに真実はあったのだ。
「…ロキ…」
 名を呼ぶ声が震える。





「その…その腹に宿った子はアルの子供なのか……!?」





 ロキが真っ青になって、涙を零した。




to be continued...

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